占領された土地と大気 5

戦車や砲兵隊の射撃場は、土壌と地下水を鉛その他の有害残留物で汚染します。


・・・たとえば、ある種の対戦車砲弾にはウラニウム・ロッドが組み込まれています。


戦争に備えることは、仮想敵国に対して焦土戦術をとるようなものです。


砂漠地帯の脆弱な環境においては、生態系の回復に数千年もかかることがあります。


カリフォルニア州南部の砂漠には、1940年代初めにジョージ・S・パットン将軍の指揮した戦車演習の傷あとがいまだに残っています。


そして、第ニ次大戦中にイギリス軍とドイツ軍が激しい戦闘を展開したリビアには、それよりはるかに深いダメージが残っているのです。


戦争準備のもっとも長期的かつ危険な後遺症の1つは、不発弾の散在する広大な地域です。


1989年11月に、アメリカ合衆国国防総省はネバダ州の約275平方キロの公有地を封鎖することを余儀なくされました。


空軍爆撃地の周辺部に誤って落とされた1389発の不発弾・・・


12万3375ポンドの榴散弾片、2万836個の弾薬がこの地域で発見されたからです。


国防総省の国土管理最高責任者であるロバート・ストーン国防次官補は、いかに大がかりな探索を行っても不発弾を1つ残らず見つけ出すことはできないだろうから、爆撃訓練に使われた土地は人間による利用を永久に禁止する必要があると明言しました。

占領された土地と大気 4

分断国家であったころの西ドイツでは、軍隊(他のNATO諸国の軍隊を含む)が約6000平方キロの土地を排他的に所有していました。


これは国土面積の2パーセント、国内の自然保護区を全部合わせた面積のほぼ3倍に相当します。


軍事施設の周囲の「保護地域」を勘定に入れると、軍隊による直接・間接の土地使用は1万4000平方キロ。


国土の約5.6パーセントにおよんでいました。


国土の4分の1に相当する膨大な土地で1年聞に約5000回の演習が行われていたのです。


旧東ドイツでは、駐留ソ連軍だけでも国土の4パーセントをコントロールしていたと報告されており、これに加え東ドイツ軍の施設が国土の0・5パーセントを占有していました。


統一ドイツ軍に課せられた制限と多くの外国軍の撤退は、ドイツにおける軍事土地使用をある程度減少させるでしょう。


計画的な暴力行為を通して、軍隊は、それを守ることを使命としているはずの領土の非常に大きな部分を破壊します。


戦争ゲームに使用される土地は著しく劣化する傾向があります。


演習は自然の植生を破壊し、野生生物の生息地を掩乱し、土壌を浸食・圧縮し、河川を沈泥でふさぎ、洪水を引き起こします。


爆撃場に使われた土地は、クレーターだらけの月面のような荒地と化すのです。

占領された土地と大気 3

たとえば、フィリピンではそうした土地が700平方キロ(大部分は実際には使用されていない)にもおよび、米軍はこの国における農地の最大の保持者になっています。


当時、ソ連の軍事組織の巨大な規模は、ソ連もまた膨大な面積の土地を軍事活動のために当てていることを示唆していました。


カザフ共和国(ソ連で2番目に大きい共和国)だけでも、およそ20万平方キロの土地が軍事目的に当てられています。


これは同共和国内で小麦栽培に使用されている土地よりも広いです。


同共和国の東部に位置するセミパラチンスク核実験場はざっと2000平方キロの土地を占有しています。


西ヨーロッパの場合、軍隊の直接土地使用は領土総面積の1~3パーセントと推定されます。


・・・しかし、多くの国では、間接的または非排他的な方法で使用されている土地は直接使用地よりもはるかに大きいのです。


・・・たとえば、オランダでは直接使用面積は国土の1・15パーセント。


しかしこれに加え、陸地と水域(およびその上の空域)の間接的使用面積が10.5パーセントにのぼると推定されます。


生態学的に重要だが脆弱なワッデン海の少なくとも3分の1、そして北海のオランダ領域の半分までが、軍事活動のために使用されているのです。

占領された土地と大気 2

たとえば、旧西ドイツで行われていた北大西洋条約機構(NATO)軍の演習は、農作物、森林、私有財産に年間平均1億ドル以上の被害(計量可能な被害の評価額)をもたらしました。


土地の軍事利用についてもっとも詳しい統計資料を公表しているのはアメリカ合衆国です。


国防総省は10万平方キロの土地を直接保有しています。


これはバージニア州の面積にほぼ等しいのです。


1990年9月、市民の激しい反対運動に屈して、国防総省はさらに1万8000平方キロの土地(コネチカット州とロードアイランド州を合わせた面積より大きい)を取得する計画を無期延期することを決定しました。


アメリカ軍は直接所有地以外の土地も使用する機会を有しています。


軍部は他の連邦政府機関から合計約8万平方キロの土地を借り受けており、また、その面積は不明ですが、州所有地の一部が軍事目的に供されています。


他方、合衆国エネルギー省の核兵器複合施設の総面積は1万平方キロメートルにおよびます。


全部合わせると、少なくとも20万平方キロ(合衆国領土の2パーセント)が軍事目的に使われています。


そのうえ、国防総省は合衆国国外で約8100平方キロの土地をコントロールしているのです。

迷惑施設

それぞれの地域社会で必要不可欠な機能を営むものでありながら、悪臭、振動、騒音などによって周辺環境を悪化させる恐れがあるため、周辺住民からは迷惑に思われている施設。

ごみ焼却場、し尿処理場、下水道処理施設、火葬場、障害者施設などのほか、最近では幼稚園や学校も迷惑施設とされることが多い。

迷惑施設の新設や増設に際しては、地域住民が反対の意思表示を行うことが多く、ときには強い反対運動が組織されることもある。

こうした反対運動はしばしば行政に対する反対であるかのごとき外観を呈するが、現実にはむしろ地域住民と他の地域住民との対立である場合が少なくない。石塚孝一氏によると、
反対運動との和解を可能にする方策として、もっともよく用いられているのは、補償金の支払い、福祉施設の拡充などであるが、それはしばしば迷惑施設の建設コストを巨大なものにする。

占領された土地と大気

生産的な土地が決定的に不足しているこの世界においては、いかなる目的のためでも領土の非生産的・破壊的な利用は誤った政策であると言わざるを得ません。


土地に対する軍部の貧欲な要求は、農業、自然保護、レクリエーション、住宅供給など他の分野の2iズとますます衝突するようになっています。


外部の脅威に対して国の領土保全をはかるという名目のもとに、ますます広大な面積の土地が軍隊に与えられ、結果的に国民の手からそれを利用する機会が奪われるというのも皮肉な話です。


公式に軍部の所有権下にある土地のほかに、軍隊がさまざまな度合で利用している膨大な面積の土地があります。


民間人の立ち入りを禁止してはいないかもしれませんが、時折り軍事目的に利用されるだけでも、これらの土地はダメージを受けたり、危険な、あるいは使用不能の状態になってしまうことが多いのです。


演習は軍事基地の境界線をはるかに越えて被害をまき散らします。


肥沃な農地を荒々しく突っ切る戦車は収穫量に被害をもたらし、ジェット機が住宅地を模擬攻撃の目標に定めて低空飛行します。


戦争ゲームは結果的に、死と破壊の爪痕を残すのです。

軍事活動と環境破壊 2

第ニ次大戦中には、アメリカ軍の丘ハ員約600人の機甲歩兵大隊が作戦行動をとるのに必要な面積は16平方キロメートル足らずでした。


しかし、今日、同様の規模の部隊は20倍以上の面積を必要とします。


第ニ次大戦下の戦闘機は作戦行動半径が約9キロメートルでしたが、今日では75キロメートルにのぼり、次期ジェット戦闘機については150~185キロメートルと予測されています。


しかし、技術開発の結果として必要となる範囲を超えて、軍部は社会の資源に対する利用権をいっそう拡大しようとする傾向があります。


非戦時下の軍隊による直接土地利用に関する世界推計は、ごく大ざっぱな数値しか示していません。


1981年に、先進工業国=2か国については領土総面積の1パーセントと推定されました。


しかし、世界全体では0・5~1・0パーセント(約75万~150万平方キロメートル)の範囲内と考えられています。


むしろ小さいように感じられるかもしれませんが、それぞれトルコとインドネシアの各国土面積にほぼ匹敵するのです。


・・・しかし、より正確な総合的評価を出すためには、軍隊そのものがコントロールしている土地面積に、兵器生産企業が占有している面積を加えなくてはならないでしょう。


残念ながら、既存のデータからは、こうしたより広義の土地使用量の大ざっぱな推計値を出すことさえできないようです。

軍事活動と環境破壊

第三世界に関する情報は非常に乏しいものです。


世界の軍事支出に占める発展途上国のシェアは、1965年の6パーセントから80年代半ばの約20パーセントに増加しました。


そのため、途上国の軍事部門におけるエネルギーと原料の消費は、絶対量で見ても相対量で見ても、急増したはずです。


途上国のほとんどは主要兵器を生産していません。


しかし、近代兵器は輸入されているので、第三世界諸国もアメリカ合衆国と共通するいくつかの問題・・・


少なくとも有害廃棄物の問題に直面していることがうかがえます。


近代の軍備は広大な土地と大気空間を必要とします。


単に多くの国の貯蔵兵器が膨大な量に達しているだけでなく、新鋭ジェット戦闘機、高速戦車、巨大な航空母艦、大型潜水艦が作戦行動をとるのに必要な空間も驚くべき規模に増加しています。


1982年に国連報告書は「常備軍の規模の拡大ど、さらに重要なことに兵器技術の急速な進歩により、軍事活動のために必要な土地の規模は、今世紀を通して着実に増加した」と指摘しています。


同報告書は今後も軍事用の土地需要が増加し続けることを予測しています。

戦後の英語ブーム

日本は西洋に追いついた・・・


いえ、技術においても精神においてもすぐれている、という日本人の思い上がりが、やがて戦争を破局に導いたともいえるでしょう。


戦後の英語ブームについては記憶がなまなましいですね。


昭和20年8月15日、終戦となりました。


そのときわたしの祖父は青森県八戸の兵舎にいて、ラジオではじめて天皇の耳なれぬ声を聞いたそうです。


外へ出てみると、空は青く、田んぼの緑色が眼に焼きついたそうです。


いやに物静かで、夏の日ざしがまぶしかったといっていました。


がくんと安堵感がしたと思うと、空虚感がひろがっていったことを今も思い起こすそうです。


8月30日、マッカーサーはコーンパイプを片手に厚木飛行場に降りました。


占領が始まったのです。


ラジオでは、9月から実用英語会話が開始されました。


いま石川遼 英会話による勉強法が流行しているように、当時の街では英語会話の本がベストセラーとなりました。


進駐軍兵士にものをたずねられたら、なんと返事をしたらよいか・・・。


それが一般大衆の心配の種だったのです。

北海道の厚岸

北海道の厚岸は、かつて国際的折衝のあった土地でした。


当時この辺の酋長は強大な勢力をもっていて、国際的に腕をふるっていたのです。


寛政元年(1789)に千島国後に起きた、蝦夷乱のとき松前藩に味方した12人の酋長を、当時松前応挙とまでいわれた、松前藩の家老、蠣崎波響が描いています。


彼らの服装は多少の誇張があるかもしれませんが、山鞄錦の上に緋ラシャの外義を羽織り、大陸渡来の犬や武器を手にしています。


それらからおしても国際的密貿易の拠点であったともいえるでしょう。


『夷酋列像』というこの画帳に描かれている、オッキネバッコという唯一の女性は、この地の者で、彼女の墓標が根付いたという伝説の水松を、土地では逆オンコと呼んでいます。


この老婆の墓には何か副葬の宝物でもあろうかと、欲張った連中がこの木の根元を掘って、老木が段々あやしくなったともいいました。


絶壁の上の砦趾にある老松ですから、いかにも何かかくされてありそうに思われるようです。


札幌旅行をしたときにでも、どこかお店の人にたずねてみるといいでしょう。


これは北海道の人ならみんな知っていることなのです。


厚岸湖の中の、天然牡蠣でできた牡蠣島で、植物群落の珊瑚草といわれる塩湿地植物は、最初ここで発見されたのでアッケシソウと名付けられました。


しかし、水質や水位の変化で衰えが目だって外海にある大黒島は、根室からbついている島と同じに、北の海鳥たちの楽園の一つ。


めずらしいコシジロウミツバメや花魁鴨というエトピリカ、ケイマフリなど数万の海鳥が、夏の北の海を生活の基地にしているのです。

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