占領された土地と大気 8
高度75メートルを飛行する航空機は最高140デシベルの騒音を生みます。
このレベルの騒音は急性聴覚障害を引き起こすおそれがあります。
たとえば、F18ジェット機が超音速飛行を10分続けると、5000平方キロ以上の地域にどーんという爆音がとどろきます。
突然の大音響に驚かされると、体内でアドレナリンが分泌され、その結果血圧が上昇し、脈拍が増え腸その他の器官が変調を来すのです。
アメリカ合衆国空軍が「自由の音」と呼んでいるものは、それに耐えることを強いられる人々、とくに子どもにとってはまさに恐怖の音です。
低空飛行に対する政治的批判の高まりに直面して、旧西ドイツ空軍は余儀なく航空演習の場をカナダとトルコに移しました。
カナダ政府は、平和運動や環境運動による抗議だけでなく、自分たちの土地の不法使用に不満を持つラブラドルの先住民イヌーからの抗議をも無視し続けています。
食物を求めて移動するカリブー(北米産トナカイ)の群れの行動パターンが飛行訓練によって撹乱されるため、先住民の生計手段が脅かされます。
こうした歓迎されざる侵入はアメリカ合衆国でも起きており、ここではアメリカ先住民の14部族の領地で飛行訓練が行われています。
・・・このように、ある社会の自由と生活様式を守るという大義名分のもとに、他の社会のそれが犠牲にされているのです。